転職の試用期間中に給与を減額された場合の正しい相談手順

転職

試用期間中の給与減額は「ルール次第」で合法にも不当にもなる

転職して間もない試用期間中に「話と違う給与が振り込まれていた」という経験をする人は少なくありません。しかし、すべての減額が「不当」とは限らず、雇用契約書や就業規則に明記されているか否かが最初の分かれ目です。この記事では、まず合法・不当を自分で判断するための確認ポイントを整理し、次にどこへ・どんな順番で相談すればよいかをステップ形式で説明します。

2026年8月の有効求人倍率は1.18倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年10月公表)と横ばいで推移しており、転職市場は一定の水準を保っています。動ける環境があるいまこそ、泣き寝入りせず適切に対処することが重要です。


相談前に準備するもの

相談をスムーズに進めるために、以下の書類や情報をあらかじめ手元に用意してください。

  • 雇用契約書・労働条件通知書(試用期間中の給与額が記載されているか確認)
  • 給与明細(減額された月と、提示されていた金額が分かるもの)
  • 求人票・内定通知書・オファーレター(採用時に提示された給与条件)
  • 就業規則(試用期間に関する条項があるか。会社に請求する権利があります)
  • やりとりの記録(メール・チャット・メモ。口頭の場合は日時と内容をメモ)

手順1:給与減額が「合法か不当か」を自分で仕分ける

まず下記の3点を確認し、該当するかどうかをチェックします。

チェック1:雇用契約書や労働条件通知書に減額の記載があるか

試用期間中の給与が本採用後より低く設定されていること自体は、あらかじめ労働条件通知書に明記されていれば労働基準法上違法ではありません。入社前に渡された書類を確認し、「試用期間中 月額○○円」「本採用後 月額○○円」のような記載があるか調べてください。

記載があった場合:合意の上で契約しているため、法的には合法と判断される可能性が高いです。ただし、最低賃金(都道府県ごとに異なります。厚生労働省の最低賃金データベースで確認可能)を下回っている場合は違法です。

記載がなかった場合:使用者が労働者の同意なく一方的に賃金を引き下げることは、原則として労働契約法第8条(労働契約の内容の変更)に違反する可能性があります。

チェック2:採用時の説明と食い違っていないか

求人票・内定通知書・口頭での説明と実際の給与が異なる場合、採用時の説明自体が「虚偽の労働条件提示」にあたる可能性があります。この場合は即時退職権(労働基準法第15条第2項)が発生する場合もあります。

チェック3:控除の内訳が給与明細で確認できるか

減額ではなく「控除の増加」によって手取りが下がっているケースもあります。社会保険料・所得税の計算ミス、遅刻・欠勤控除の誤りなどを給与明細で確認してください。


各社の公式サイト

※料金・条件は変更される場合があります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

手順2:まず社内で確認・交渉する

法的手続きに進む前に、社内での確認を先に行うほうが解決が早い場合があります。

  1. 人事部門・総務部門に書面(メール)で質問する 「給与明細の○月分について、労働条件通知書と差異があるため確認したい」と穏やかに質問します。口頭ではなくメールで記録を残すことが重要です。
  2. 回答内容を保存する 会社の説明が書面で残ると、後の相談時に証拠として使えます。
  3. 誠実な対応が得られない場合は外部相談へ進む

手順3:無料の外部相談窓口を活用する

社内交渉で解決しない場合、以下の窓口を利用します。いずれも原則無料です。

総合労働相談コーナー(厚生労働省)

全国の労働局・ハローワーク内に設置されており、予約不要で相談できます。給与未払いや労働条件の相違について、法的根拠を踏まえた助言を受けられます。ただし、あっせん(仲裁)には相手方の同意が必要です。

  • 問い合わせ先:各都道府県労働局(厚生労働省公式サイト内「総合労働相談コーナー」で検索)

労働基準監督署

最低賃金違反や賃金未払いなど労働基準法違反の疑いがある場合は、労働基準監督署への申告が有効です。申告後は監督署が会社に調査・是正勧告を行う場合があります。

  • 匿名申告は制度上難しいケースが多いですが、相談自体は可能です。

法テラス(日本司法支援センター)

収入要件を満たす場合は弁護士費用の立替制度があります。賃金差額の請求など法的措置を検討する段階で利用を検討してください。電話番号:0570-078374

弁護士・社会保険労務士への個別相談

未払い賃金の差額請求(2020年の民法改正により労働債権の消滅時効は原則5年、当面は3年)や労働審判を利用したい場合は、専門家への相談が近道です。初回相談無料の事務所も多くあります。


手順4:転職エージェントで「次の選択肢」を確認する

給与減額問題を抱えたまま在籍し続けることが精神的・経済的に難しい場合、並行して転職活動を始めることも現実的な選択肢です。特にマーケティング・クリエイティブ職の方には、マスメディアンのような専門特化型エージェントが、業界相場の給与水準を把握した上でのアドバイスを無料(求職者は完全無料、成功報酬は企業側負担)で提供しています。

転職エージェントを利用することで、「現在の給与水準が市場相場と比べてどの程度ずれているか」を客観的に把握でき、社内交渉の材料や次のキャリア判断の根拠にもなります。

サービス選択時の確認ポイント(3社以上を比較することを推奨):

エージェント区分 費用(求職者) 特徴
専門特化型(例:マスメディアン) 無料 特定業界の相場に詳しい。条件交渉のサポートあり
総合型大手 無料 求人数が多い。業界横断で比較しやすい
スカウト型 無料 企業からオファーが来る。受け身で情報収集できる

※料金は本記事作成時点。最新は各社公式サイトをご確認ください


つまずきやすい点と注意事項

  • 「試用期間中だから何も言えない」は誤解 試用期間中も労働基準法は適用されます。雇用開始から14日を超えていれば、解雇には30日前の予告または予告手当が必要です。
  • 退職を急かされた場合は慎重に 「この条件が嫌なら辞めてもらう」という発言は退職強要にあたる可能性があります。自己都合退職にすると失業給付の受給に不利になる場合があるため、「会社都合」か「自己都合」かの整理も重要です。
  • 証拠は早めに保全する スクリーンショット、メールの転送(個人アドレスへ)、書類のコピーなど、在籍中にできる範囲で保存しておいてください。
  • 副業で収入を補う場合は就業規則を確認 試用期間中に副業で収入を補いたい場合、会社の就業規則で副業が禁止または届出が必要とされているケースがあります。無断で副業を行うと就業規則違反となるリスクがあります。

よくある質問

試用期間中の給与を下げることは違法ですか?
あらかじめ労働条件通知書や雇用契約書に明記し、労働者が同意している場合は直ちに違法とはなりません。ただし、最低賃金を下回る場合や、事前の説明なく一方的に引き下げた場合は違法になる可能性があります。まず書面を確認してください。

内定時の給与と違う額が支払われた場合、差額を請求できますか?
内定通知書やオファーレターに金額が明記されていた場合、差額分を未払い賃金として請求できる可能性があります。労働基準監督署への申告や労働審判の利用も選択肢です。専門家(弁護士・社会保険労務士)に相談することをお勧めします。

会社に直接文句を言って不利な扱いを受けないか心配です。
正当な権利行使(賃金請求、監督署への申告など)を理由とした不利益取扱いは、労働基準法や労働契約法上禁止されています。ただし、実務上のリスクが完全にゼロとは言い切れないため、証拠の保全と並行して転職活動を進めておくことも現実的な対策です。

相談するお金がありません。無料で話を聞いてもらえますか?
厚生労働省の「総合労働相談コーナー」は予約不要・無料です。弁護士費用については収入要件を満たす場合に法テラスの立替制度が利用できます。転職エージェントも求職者への費用は発生しない仕組みがほとんどです。

試用期間中に辞めると失業給付はもらえないですか?
雇用保険の受給には一定の被保険者期間が必要です(離職理由によって異なります)。試用期間が短く被保険者期間を満たさない場合は給付を受けられないケースもあります。ハローワークに個別に確認することをお勧めします。

労働基準監督署に相談すると会社に知られますか?
相談の段階では原則として会社に通知されません。ただし、正式に申告・調査に進むと調査の過程で会社側に接触が生じます。事前に担当者に「匿名での対応が可能か」を確認することをお勧めします。


まとめ

試用期間中の給与減額問題は「合法か不当か」の見極めが最初のステップです。雇用契約書・求人票・給与明細の3点を照合し、食い違いが確認できたら社内確認→外部相談窓口の順に進めてください。法的手続きと並行して、転職エージェントを通じて市場での自分の価値を客観的に把握しておくことも、問題解決の選択肢を広げることにつながります。泣き寝入りせず、使える窓口と専門家を組み合わせて対処しましょう。


制度や求人動向は変更される場合があります。転職・副業のご判断はご自身の責任で行ってください。

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