電気・ガスセット割は本当に安い?計算方法と節約額の実態
「セット割で月◯◯円お得!」という広告は目にするものの、燃料費調整額や再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)を足すと思ったより安くならなかった、という声は少なくありません。2026年10月時点、中部電力ミライズでは平均的な家庭の電気料金が前月比1,492円値上がりするなど、固定費の見直し需要はかつてなく高まっています。この記事では「セット割が本当にお得かどうか」を自分で計算できる方法と、主要サービスの条件を整理します。
結論:向いている人・向かない人
向いている人
- 電気・ガスを同一エリアで両方使っており、現在バラバラの会社と契約している
- 検針票(明細書)を手元に用意して、実際の使用量ベースで計算できる
- 2年以上同じ住所に住む予定があり、解約金リスクを許容できる
向かない人
- 電気のみ(またはガスのみ)しか使わない住居(オール電化・プロパンガス地域など)
- 引っ越し予定が近い(解約金・工事費などでメリットが消える可能性)
- 燃料費調整額の上限設定がない会社に乗り換えると、高騰局面でかえって高くなるケースがある
セット割の「本当の安さ」を計算する方法
ステップ1:現在の実質月額を算出する
月の電気代を正確に把握するには、以下の3つを明細から合計します。
実質月額(現在)= 基本料金 + 電力量料金 + 燃料費調整額 + 再エネ賦課金
- 燃料費調整額:LNG(液化天然ガス)・石炭・原油の輸入価格に連動して毎月変動する上乗せ料金。プラスにもマイナスにもなります。
- 再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金):電気を使う全員が負担する法定費用。2026年時点では1kWhあたり3.49円(経済産業省告示値・本記事作成時点。最新は資源エネルギー庁の公式サイトをご確認ください)。
例:月間使用量400kWhの家庭
– 基本料金:1,716円(一般的な30A契約の場合)
– 電力量料金:400kWh × 平均約25円=10,000円(目安)
– 燃料費調整額:400kWh × 調整単価(変動)
– 再エネ賦課金:400kWh × 3.49円=1,396円
– 合計イメージ:13,000〜15,000円前後(燃料費調整額次第で上下)
ステップ2:乗り換え先の試算額を出す
乗り換え先のWebサイトには「料金シミュレーター」が用意されている場合がほとんどです。入力する数値は自分の検針票の使用量(kWh)を使うのがポイント。サイトのデフォルト値(「平均的な家庭」として設定された数値)は自分の家庭と合わない場合があります。
節約額(月)= 現在の実質月額 - 乗り換え後の実質月額(燃料費調整額・再エネ賦課金込み)
年間節約額= 節約額(月)× 12
ステップ3:初期コストと解約コストを差し引く
乗り換えにはコストが発生する場合があります。
- 解約金:現在の会社の契約期間・解約条件を確認(最終検針日から翌月以降に課金されるケースも)
- 初期費用:工事費や事務手数料
- セット割の条件:「電気とガスを同一会社で契約した場合のみ」「光回線とのセットが必要」など
実質節約額(年間)= 年間節約額 ー 初期コスト ー 解約金
この値がプラスになるまでの月数を「回収期間」と呼びます。2年契約なら回収期間が24か月以内に収まるかどうかが判断の目安です。
各社の公式サイト
※料金・条件は変更される場合があります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
主要サービスの料金・条件比較(2026年10月22日時点)
以下は本記事で取り上げるサービスの概要比較です。料金は公表値を参照していますが、燃料費調整額は毎月変動するため、実際の請求額は異なります。必ず各社公式サイトのシミュレーターでご確認ください。
| 事業者 | 対象 | 月額の目安(税込) | 初期費用 | 解約金 | セット割の条件 | キャンペーン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東急でんき&ガス | 電気+ガス | 要シミュレーター(公式で試算) | 無料 | 要確認 | 電気・ガス同時契約でセット割適用 | キャンペーン随時あり |
| エルピオでんき | 電気 | 要シミュレーター | 無料 | 要確認 | 各種セット割あり | 要公式確認 |
| アルカナエナジー | 電気 | 単価が低水準(要シミュレーター) | 無料 | 要確認 | なし(単価競争力型) | 要公式確認 |
| ネット電力 | 電気 | 基本料金0円プランあり | 無料 | 要確認 | なし(基本料金0円型) | 要公式確認 |
※料金は本記事作成時点。燃料費調整額・再エネ賦課金は別途発生します。最新は各社公式サイトをご確認ください。
東急でんき&ガス
電気とガスを同一会社でまとめることで割引が適用されるセット型サービスです。東急グループが運営しており、Webや電話での申し込みが可能。メリットは請求を一本化できる利便性と、両方まとめることで得られるセット割の適用。注意点は、提供エリアが限られる場合があることと、解約時の条件を事前に確認する必要がある点です。
エルピオでんき
電気の乗り換えにセット割を組み合わせられるサービスです。シミュレーターで現在の使用量を入力することで試算額を確認できます。メリットは比較的わかりやすい料金体系。注意点は、燃料費調整額の上限設定の有無を確認しておくことです。燃料価格が高騰した局面では、上限なしのプランでは大手より高くなることもあります。
アルカナエナジー
電力単価の低さを特長とするサービスです。セット割の形式ではなく、単価そのものの安さで差別化しています。メリットは電気使用量が多い家庭ほど恩恵を受けやすい点。注意点は、セット割を期待する場合は別途ガス契約が必要になる(別会社との組み合わせ)ことです。
ネット電力(サステナブルでんき)
基本料金0円プランを提供している電気サービスです。電気の使用量が少ない月の負担を抑えやすい設計が特長。メリットは月ごとの基本料金がかからないため、使わない月はコストを圧縮しやすい点。注意点は、電力量単価の水準と燃料費調整額の仕組みを必ず確認し、自分の使用量パターンで試算してから判断することです。
セット割を選ぶ際の3つの判断基準
- 燃料費調整額に上限はあるか?
上限なしのプランは燃料価格高騰時に大手より高くなるリスクがあります。2026年10月時点の値上がり局面では特に重要なチェックポイントです。
- 「セット割額」より「実質月額」で比べているか?
「月◯◯円引き」という表示は、元の単価が高い場合は差し引いても割高なことがあります。必ず計算式(基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金)で実質月額を算出して比較してください。
- 解約・引っ越し時のリスクを試算したか?
2年以内に引っ越す可能性がある場合、解約金や違約金が節約額を上回るケースがあります。回収期間を事前に計算しておくことが重要です。
申し込みの流れ
- 現在の検針票を用意する
直近3か月分の「使用量(kWh)」「燃料費調整額の単価」「請求合計額」を確認します。
- 各社の公式シミュレーターで試算する
自分の使用量を入力し、燃料費調整額・再エネ賦課金を含めた実質月額を出力します。
- 節約額と初期コスト・解約金を比較する
「実質節約額(年間)=年間節約額 ー 初期コスト ー 解約金」がプラスになるか確認。
- 希望の会社に申し込む
Webから必要事項(需給地点特定番号=検針票に記載の番号)を入力して申し込み。切り替えは原則として次の検針日以降に完了します。
- 切り替え完了を確認する
最初の請求書で、セット割が正しく適用されているかを確認してください。
よくある質問
セット割の割引額は毎月固定ですか?
事業者によって異なります。固定額の割引(例:電気・ガスセットで月○○円引き)のものと、使用量に応じた単価割引のものがあります。また、割引が「初年度のみ」「特定のプランにのみ適用」といった条件付きの場合もあるため、申し込み前に必ず適用条件を確認してください。
燃料費調整額は乗り換えても請求されますか?
はい、新電力(大手電力会社以外の電気小売事業者)でも燃料費調整額は発生します。ただし、大手電力会社は上限単価を設定していることがある一方、新電力の一部は上限なしのプランを提供しています。燃料価格が高騰した局面では上限なしのプランが割高になる可能性があるため、必ず申し込み前にプランの仕様を確認してください。
申し込みから切り替えまで何日かかりますか?
一般的に申し込みから切り替え完了まで1〜2か月程度かかる場合があります。次の検針日のタイミングで切り替わることが多く、申し込み日によっては最大2か月待つケースもあります。急いで切り替えたい場合は、申し込み時期を確認のうえ手続きをしてください。
解約金はかかりますか?
事業者・プランによって異なります。2年縛りや最低利用期間のあるプランは中途解約時に違約金が発生する場合があります。また、現在契約中の大手電力会社の「規制料金」から切り替える場合は、解約金が発生しないことが多いですが、現在加入しているプランの契約書を事前に確認してください。
電気とガスを別の会社に分けると高くなりますか?
セット割の適用条件が「同一会社との契約」に限られる場合は、別々の会社に契約すると割引が受けられません。一方、電気とガスそれぞれ別の新電力・新ガス会社に個別に乗り換えたほうがトータルで安くなるケースもあります。セット割の割引額と、それぞれ個別に最安値を探した場合の差額を比較してから判断することをおすすめします。
再エネ賦課金は乗り換えで変わりますか?
いいえ、変わりません。再エネ賦課金は法令で定められた全国一律の費用で、どの電気事業者と契約しても同じ単価が適用されます(2026年10月22日時点:1kWhあたり3.49円、本記事作成時点の値。最新は資源エネルギー庁の公式サイトをご確認ください)。
まとめ
セット割の「本当の安さ」は、広告の割引額だけでは判断できません。燃料費調整額と再エネ賦課金を含めた実質月額で比較し、「年間節約額 ー 初期コスト ー 解約金」がプラスになるかを自分の使用量で計算することが重要です。2026年10月時点で電気料金が過去最高水準に近づく報道が相次いでいるなか、固定費の見直しは効果が出やすい局面と言えます。ただし、「必ず安くなる」とは断言できず、プランの条件・燃料費調整額の上限の有無・解約リスクを総合的に判断したうえで乗り換えを検討してください。
料金・キャンペーン内容は変更される場合があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。


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